「呼吸法すら上手くできない」と落ち込む夜に。脳を強制的にオフにする、魔法のリズム「吸って、吸って、吐く」

はじめに:深呼吸が「苦しい」と感じるあなたへ
こんばんは、睡眠コーチの角谷リョウです。
「眠れないときは、深呼吸をしましょう」
誰もが一度は聞いたことのあるアドバイスです。
でも、真面目なあなたなら、こんな経験はありませんか?
「4秒吸って、4秒止めて……あ、苦しい」 「秒数を数えるのに必死で、余計に目が冴えてしまった」
そして、「呼吸法すらまともにできないなんて」と、暗闇の中で小さく傷ついてしまう。
もしそうなら、安心してください。あなたが不器用なわけではありません。
その呼吸法が、今のあなたの疲れ切った心には「頑張りすぎ」だっただけなんです。
今日は、カウントも努力もいらない。 ただ「肺が喜ぶ」ことだけを考えた、スタンフォード大学発の新しい呼吸法の話をさせてください。
「軍隊式」は、戦う人の呼吸だった
よくネットで見かける「ボックス呼吸(4秒吸って、4秒止めて、4秒吐く)」などは、元々は軍隊や特殊部隊がメンタルをコントロールするために使っていたりします。 理論的には正しいのですが、リラックスしたい夜に「息を止める」という行為は、慣れていないと意外とストレスがかかるものです。
眠るための準備なのに、無意識に「任務(ミッション)」になってしまっては、脳は休まりません。
「正しくやらなきゃ」という真面目さが、かえって交感神経を刺激してしまうのです。
脳がとろける新習慣「サイクリック・サイ」
そこで今、僕が最もおすすめしているのが、「サイクリック・サイ(Cyclic Sighing)」という呼吸法です。
名前はちょっと難しそうですが、やることは拍子抜けするほどシンプル。
子供が泣きじゃくったあとに、「ヒック、ヒック、ふぅー」と息をするでしょう? あれと同じ原理です。
「短く2回吸って、長く吐く」。 たったこれだけ。
スタンフォード大学の研究でも、この呼吸法は、一般的なマインドフルネス瞑想やボックス呼吸よりも、「気分の改善」や「呼吸数の低下(リラックス効果)」において即効性が高いという結果が出ています。
難しいことは考えず、「肺をもっと広げてあげる」感覚で行うのがコツです。

やり方は「吸って、吸って、ふぅー」
ベッドに入って目を閉じたら、以下のリズムを試してみてください。
- 吸う(1回目): 鼻からスッと息を吸います(肺の半分くらい)。
- 吸う(2回目): 間髪入れずに、もう一度鼻から吸い足します(肺を満タンにするイメージ)。
- 吐く: 口から「ふぅー」っと、細く長く息を吐き切ります。
これを、気が向くままに1〜3分繰り返すだけ。
秒数は数えなくてOKです。自分の気持ちいいリズムで構いません。
2回吸うことで、肺の奥にある小さな袋(肺胞)がパッと開き、酸素が一気に取り込まれます。
そして、長く吐くことで、溜まっていた二酸化炭素とストレスが体外へ排出されていく。
やってみるとわかりますが、これは単なる呼吸法というより、「最高に気持ちいい“ため息”」です。
数回やるだけで、脳のスイッチがカチッと切り替わり、体が泥のように沈んでいく感覚を味わえるはずです。

呼吸は「正しさ」より「心地よさ」
王道の「4-7-8呼吸法」も素晴らしいメソッドですが、もし「数を数えるのが面倒だな」と感じたら、迷わずこの「サイクリック・サイ」を選んでください。
僕自身、夜ベッドに入って「あ、今日はいろいろ考えちゃいそうだな」と思ったら、すかさずこの呼吸を3回だけやります。
で、不思議と心が静かになります。
呼吸なんて、そもそも生きている限り勝手にやっていること。
だから、寝る時くらい「正しく」やろうとしなくていいんです。
ただ、気持ちよく吸って、体の中のモヤモヤを全部吐き出す。
その心地よさに身を委ねていれば、眠りは向こうから勝手にやってきます。
おわりに:今日を「ふぅー」で終わらせよう
忙しい一日、本当にお疲れ様でした。
いろんな言葉を飲み込み、いろんなプレッシャーに耐えてきたその体を、今夜は呼吸で労ってあげてください。
スマホを置いて、目を閉じて。 吸って、吸って、……ふぅー。
その最後の一息と一緒に、今日の荷物を全部下ろしてしまいましょう。
あなたが今夜、安らかな静寂に包まれますように。
おやすみなさい。
